自衛隊基地と米軍基地 | 軍用地投資ブログ

2021年03月19日

沖縄の軍用地について徹底解説。今回は自衛隊基地と米軍基地をさまざまな視点から徹底比較。投資物件として、それぞれどのような特徴があるか、分かりやすくご説明いたします。

 

 目次

 - はじめに

 - 自衛隊基地と米軍基地の比較

 - 自衛隊・米軍の施設別人気ランキング

 - 自衛隊基地を購入するのはどんな人?

 - 航空・陸上・海上自衛隊

 - 忘れてはいけない那覇空港用地

 - 次回ブログへ

 

はじめに

 

皆さま、こんにちは。開南コーポレーション代表の新垣です。

前回までのブログでは、軍用地の探し方や優良業者の見分け方についてお伝えしてまいりましたが、ここからはさらなる実践編として物件選びのノウハウをご紹介。今回は「自衛隊基地」と「米軍基地」の違いについて、さまざまな視点から分かりやすく比較・解説していきたいと思います。

当社のお客様からも、自衛隊施設を購入すべきか、米軍施設を購入すべきかという質問を多くいただきますので、検討中の方はぜひ参考にしていただければと思います。

 

自衛隊基地と米軍基地の比較

 

まずはじめに、同じ軍用地でありながら自衛隊基地と米軍基地とで何がどう違うのか、皆さまが気になるであろうポイントごとに説明させていただきます。

 

返還リスク


 

軍用地の唯一のリスクともいえる「返還」ですが、一般的にその可能性は、駐留費などの負担が大きい米軍施設の方が高く、自国の防衛組織である自衛隊の方が低いと考えられています。ただし、以前ブログでも述べたとおり、現在運用中の米軍基地(返還予定のある施設を除く)はいずれも重要度が高く、返還リスクもほとんどないと考えられているため、この点についてはそこまで大きな差はないかと思います。ですので、自衛隊施設の方が「より安心できる」といった感覚でとらえておけばよいかと思います。

 

倍率・人気度


 

沖縄県内の自衛隊基地は、全施設を合計したとしても面積がそこまで広くないため物件数も少なく、その分競争倍率が非常に高いのが特徴です。対する米軍基地ですが、こちらも一般不動産に比べれば物件数は少ないものの、自衛隊施設に比べればまだまだ入手しやすいレベルといえます。

 

借地料(借地単価)


 

自衛隊基地の多くは、市街地化が進み、地価が高騰している那覇エリアに位置しております。そのため、米軍基地に比べて全体的に借地料が高いのが特徴です。ですが、それ以外の地域にある自衛隊施設の借地単価はそこまで値上がりしていないため、売買価格も比較的安め。数が少なく、あまり市場に出ることはありませんが、もしそうしたレア物件を見つけたら迷わず購入することをおすすめいたします。

 

立地・面積


 

純粋な立地という意味では、空港にも近く那覇市街地にも近い自衛隊施設はある意味で別格。これを上回る米軍施設はないと考えられます。ただし、面積に関しては米軍基地:18708.2ha、自衛隊基地:728.1haということで、米軍基地の方が圧倒的に広く施設数も豊富とあり、購入のしやすさという意味では当然ながら米軍基地に軍配が上がります。(数字は平成31年度3月末時点)

 

物件の絶対数


 

先にも述べたとおり、米軍基地と自衛隊基地とではそもそも面積が大きく違うので、地主数・物件数においてもその差は歴然たるものです。当社の取扱実績からしても、市場に出回る軍用地物件の数は、米軍施設:10に対して、自衛隊施設:1程度の割合だと考えております。

 

自衛隊・米軍の施設別人気ランキング

 

では、実際にどのような施設が人気が高いのか、ここからは当社の取引実績をもとにご紹介。自衛隊基地と米軍基地、それぞれのグループごとに人気施設をみていきたいと思います。

 

自衛隊施設の人気ランキング


 

当社独自の軍用地(自衛隊施設)の人気ランキング。

当社独自の軍用地(自衛隊施設)の人気ランキングです。

 

第1位 航空自衛隊/那覇基地

まずは自衛隊基地のランキングですが、栄えある第1位に輝いたのは「航空自衛隊/那覇基地」。人気の理由は、何と言ってもやはり立地のよさで、自衛隊基地としては那覇空港の滑走路にもっとも近い施設でもあります。もともと自衛隊施設は返還の可能性が低いとされていますが、県内随一の民間空港施設が目と鼻の先にあることで、よりいっそう返還リスクが少ないと考えられているのです。

 

第2位 陸上自衛隊/那覇駐屯地

次点は「陸上自衛隊/那覇駐屯地」です。こちらも非常に立地のよい自衛隊施設で、那覇空港から市街地中心部へと抜ける幹線道路沿いに位置しております。敷地内には、庁舎・隊舎のほか、整備工場・倉庫・給水施設・通信施設など、建物が多いのが特徴。現役施設として活発に稼働している雰囲気が感じられ、それがまた返還リスクが低いだろうという期待につながっていると考えられます。

 

第3位 陸上自衛隊/那覇訓練場

第3位には「陸上自衛隊/那覇訓練場第」がランクイン。こちらの施設も空港からほど近く、上位2施設に負けず劣らずの好立地が魅力です。しかしながら、訓練場ということで敷地内にほとんど建物がなく、パッと見ではあまり重要な施設に見えないためか、先にご紹介した那覇駐屯地と比べると、やや人気は落ちるといったところです。

 

米軍施設の人気ランキング


 

当社独自の軍用地(米軍施設)の人気ランキング。

当社独自の軍用地(米軍施設)の人気ランキングです。

 

第1位 嘉手納飛行場

続いて米軍基地のランキングですが、全体的な傾向としては、返還リスクが低いとされる嘉手納以北の施設を求める方が増加中。なかでも、やはり「嘉手納飛行場」の人気は圧倒的です。嘉手納飛行場の人気の理由については、過去にこちらの記事で説明しておりますので、よりくわしく知りたいという方はぜひご覧ください。

 

第2位 嘉手納弾薬庫

次点は「嘉手納弾薬庫」です。こちらの施設は嘉手納飛行場に隣接している空軍管理の弾薬貯蔵施設であるという点、また、海兵隊・空軍・海軍・陸軍すべての任務支援を行う施設であるという点から、返還リスクが低いと考えられております。そのほか、近年、国道58号線沿いのエリアに商業施設が立ちはじめたことで、将来的に借地料が大きく上昇していく可能性もあります。

 

第3位 ホワイトビーチ

第3位はうるま市の勝連半島南端に広がる「ホワイト・ビーチ地区」です。こちらは敷地面積こそ小さいですが、原子力潜水艦の横付けが可能な港湾機能を有するとあって、米軍にとっては非常に重要度の高い施設であるといえます。こうしたことから、現時点では返還の可能性はほとんどないものと考えられています。

 

自衛隊基地を購入するのはどんな人?

 

軍用地のなかでも一二を争うほど高額な自衛隊施設ですが、それでも物件公開と同時にすぐ完売になるほど人気があり、何が何でも購入したいというお客様が後を絶ちません。

では、こうした方々はなぜ米軍基地ではなく自衛隊施設の購入にこだわるのかというと、多くのお客様は「自衛隊は自国の防衛組織だから撤退することはないだろう。対して、米軍はあくまで外国の軍隊。どちらか選ぶのであれば自衛隊基地の方が安心!」という考え方が根底にあります。

例えとして適当かどうか分かりませんが、スーパーなどで食料品を選ぶ際に「国産の食べ物は安心・安全。だから、外国産のものより少し高くてもそちらを買いたい」という感覚に似ているように思います。

ですので、ある程度資金に余裕があり、とにかく長期にわたってストレスなく安定的に所有したいという方には、自衛隊施設はまさにうってつけの施設といえます。現在、どちらの施設を買うべきかで迷われている方は、ぜひ参考にしていただければと思います。

ちなみに、那覇エリアの自衛隊施設の場合、地主会が30㎡未満の小規模地主の入会を積極的に受付けていないこともあり、500万円以下の物件が売りに出されることはまずありません。ので、あくまで資金力に余裕のある方向けの施設と考えていただければと思います。

 

航空・陸上・海上自衛隊

 

ここからは自衛隊施設について、別の視点からもう少しくわしく見ていきたいと思います。

ご存じのとおり、自衛隊には陸上・航空・海上の3つの組織が存在しますが、沖縄にはそのすべての部隊が駐屯しております。施設数は、陸上自衛隊:27、海上自衛隊:3、航空自衛隊:11で、そのほとんどが陸上・航空自衛隊で占められており、施設面積(内民有地)も、陸上自衛隊:3,457千㎡(2,066千㎡)、海上自衛隊:572千㎡(255千㎡)、航空自衛隊:3,245千㎡(2,221千㎡)とほぼ同様の割合。軍用地市場においても、陸・空の2部隊が管理する施設が中心となっている様子が分かります。

なお、施設全体の地主数は、陸上自衛隊:3,621人、海上自衛隊:408人、航空自衛隊:3,848人。年間借地料は、陸上自衛隊:4,831百万円、海上自衛隊:261百万円、航空自衛隊:7,682百万円ということで、いかに航空自衛隊施設の借地単価が高いのかよく分かるかと思います。

 

部隊別の自衛隊基地の概況/参照:沖縄の米軍及び自衛隊基地(統計資料集)令和2年3月。

 

※施設数・施設面積・地主数は平成31年3月末現在。年間借地料は平成30年度の実績。「沖縄の米軍及び自衛隊基地(統計資料集)令和2年3月」を参照。

 

忘れてはいけない那覇空港用地

 

最後に、自衛隊施設でも軍用地施設でもない「那覇空港用地」について、ご説明させていただきます。

この施設は、全軍用地のなかでも一二を争うほど人気が高く、もっとも入手がむずかしい施設のひとつです。というのも、空港の敷地面積の多くは国有地であり、軍用地として取引されている土地はごくわずかだからです。具体的な物件例を挙げますと、滑走路・駐機場・ターミナル・駐車場など、文字どおり空港内部の土地もあれば、見た目的には空港の外側に位置する場所も含まれております。

また、那覇空港用地ならではの特徴として、賃借契約を結んでいる相手が一般の軍用地のように防衛省ではなく国土交通省であるという点が挙げられます。いい加減な業者のなかには、航空自衛隊の那覇基地を那覇空港用地として売りに出しているケースもあるので、気になる場合には、借地権者が防衛省なのかそれとも国土交通省なのか、事前にしっかりと確かめておくと安心できるかと思います。

なお、那覇空港はもともと民間空港であることに加え、現在第二滑走路の建設も行われており、返還の可能性は全軍用地中もっとも低いと言われています。当然、購入される場合には相応の資金が必要ですが、何十年という長期スパンで安定的に資産運用したいという方には、まさに最適な投資対象といえる施設だと思います。

 

那覇空港周辺の航空地図(国土地理院より)。

那覇空港の滑走路周辺の航空地図(参照:国土地理院)。

 

次回ブログへと続きます。

 

今回は「自衛隊基地と米軍基地」ということで、各施設ごとの違いが分かるようにご説明させてさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。

自衛隊施設・米軍の施設・那覇空港用地、それぞれの特徴やメリットをきちんと理解したうえで、ぜひ、ご自身にぴったりの施設を選んでいただければと思います。

次回以降は、これから狙い目の施設をはじめ、投資タイプ別のおすすめ施設など、さらに一歩踏み込んだ情報をお伝えしていければと思います。

どうぞお楽しみに!

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