自分に合った施設の選び方 | 軍用地投資ブログ

2021年04月02日

沖縄の軍用地について徹底解説。今回は、お客様ご自身にぴったりの軍用地物件をお選びいただくうえで、ぜひ知っておいていただきたいノウハウをご紹介。はじめての軍用地投資で施設選びにお悩み中という方は、この機会にどうぞご一読ください。

 

 目次

 - はじめに

 - 軍用地料の動向を知る

 - 目的や状況に応じた施設選び

 - 注目の施設をピックアップ

 - 次回ブログへ

 

はじめに

 

皆さま、こんにちは。開南コーポレーション代表の新垣です。

前回のブログでは、自衛隊基地と米軍基地、それぞれの特徴や違いについてお伝えしましたが、今回はそこからさらに踏み込んで、目的や状況に応じた施設の選び方についてご説明。お客様それぞれの投資スタンスにもっとも適した施設をお選びいただくうえで、ぜひ知っておいていただきたいノウハウをご紹介いたします。

 

軍用地料の動向を知る

 

施設を選ぶうえでの大前提として、まずそれぞれの施設概要(所在地・敷地面積・用途・管轄部隊・倍率・返還計画など)は確実に頭に入れておく必要がありますが、これはいわば基本中の基本。投資対象の候補施設をある程度の数まで絞ったら、次はぜひ施設ごとの借地単価(1㎡あたりの借地料)の上昇率に注目し、ここ数年の変動幅をチェックしていただければと思います。

 

借地料の上昇率


 

各施設ごとの借地料自体は、沖縄県が公表する米軍基地・自衛隊基地関係資料より確認できるため割愛いたしますが、代わりにここでは、近年借地料の上昇率がよいと感じられる施設について、いくつかご紹介したいと思います。

 

1. トリイ通信施設

読谷村にある「トリイ通信施設」は、施設面積1,895千㎡(私有地1,721千㎡)、地主数1,314人、年間借地料1,595百万円の規模の小さな軍用地ですが、借地単価の値上がり率がよいこともあり、近年何かと注目されている施設です。

市場に出回る物件数も非常に少なく、タイミングよく出会えるかどうかは運次第といったところですが、ぜひ選択肢のひとつとして加えてみてはいかがでしょうか。

近年、大型の商業施設も整備され、おとなり嘉手納町からの移住者も増加しており、とりわけ西海岸周辺エリアの地価が上昇傾向にある読谷村。その影響を今後しばらくは期待できそうなトリイ通信施設は、今注目の成長株のひとつといえそうです。

 

2. 嘉手納弾薬庫

読谷村・沖縄市・嘉手納町・恩納村・うるま市にまたがる「嘉手納弾薬庫」は、施設面積26,585千㎡(私有地13,367千㎡)、地主数4,971人、年間借地料12,263百万円の大規模な軍用地で、こちらも借地単価の値上がりが期待できる施設のひとつです。

元々この施設のある一帯は、あまり整備の進んでいないエリアだったため、借地料の設定もそこまで高くなかったのですが、国道58号線沿いの返還地が本格的に開発されはじめてからは状況が大きく変化。大型の商業施設をはじめ、飲食店やスーパーなどが立ち並ぶようになると地価も上昇し、それに比例する形で借地料も値上がりを見せております。

このように、返還されてからすでに数年~十数年経っている土地が将来的に開発されることを見越して、周辺の施設を購入しておくというのも、かしこい買い方のひとつといえます。

 

3. 陸軍貯油施設

うるま市・北谷町・嘉手納町・沖縄市・宜野湾市に分かれた「陸軍貯油施設」は、すべて合わせても施設面積1,277千㎡(私有地972千㎡)、地主数988人、年間借地料1,485百万円という小規模の軍用地ですが、こちらも借地料の値上がり幅が比較的よい施設です。

例として、過去3年間の施設全体の借地料(単価)をご紹介いたします。

平成28年度:約1,489円
平成29年度:約1,508円(前年1.27%増)
平成30年度:約1,527円(前年1.25%増)

上記のように、平均で1.25%以上の値上がりを示しており、周辺地価の上昇を考慮すれば、今後しばらくはこの傾向が続く、もしくはさらに上向いてくるものと思われます。

以下は、平成30年度の借地単価を基準に上昇率を1.25%として、同施設を200㎡保有している場合の10~20年後の年間借地料の推移、および物件価格の変化についてシミュレーションしたものです。※倍率は50倍で固定しております。

借地単価
購入年:1,527円
10年後:1,729円
20年後:1,958円

年間借地料
購入年:30万5,400円
10年後:34万5,800円
20年後:39万1,600円

物件価格
購入年:1,527万円
10年後:1,729万円
20年後:1,958万円

※端数は省略しております。

ということで、20年間保有すると(あくまで単純計算ですが)キャピタル430万円以上、インカム累計690万円以上となり、非常に利回りのよい物件であることがお分かりいただけるかと思います。

 

4. 借地料据え置きの施設も

ここまで借地料の上昇率のよい施設についてご紹介してきましたが、実はここ数年、全軍用地の中で唯一借地料が据え置かれている施設があります。それが、2年連続上昇率0%の「伊江島補助飛行場」です。

伊江島自体の地価が停滞していること、また、未使用状態の黙認耕作地が非常に多いことなどから、現在の評価傾向はしばらく続くものと考えられるため、今後この施設を購入しようという方は注意が必要。軍用地投資ビギナーには、少々手ごわい施設といえるかもしれません。

 

宅地見込地の借地料


 

借地料の値上がり率とともに確認しておきたいのが「宅地見込地」の単価変動です。

以前のブログでもご紹介したとおり、宅地見込地は宅地に比べて借地単価が低く設定されているケースが多く、地域によってはまだまだ格差が大きい状況。そのため、近年になって市街地化が急速に進んだ地域に隣接する施設では、宅地見込地の単価上昇率が宅地のそれを大きく上回っているケースが少なくありません。

例えば、嘉手納飛行場の現在の借地料上昇率ですが、宅地が0.3%程度、宅地見込地が1.0%弱程度と、約3倍もの差があることが分かります。長期的に保有することを考えると、これは決して小さくない数字と言えます。

以下は、年間借地料50万円の軍用地を、宅地0.3%・宅地見込地1.0%の単価上昇率でそれぞれ10~20年間保有した場合のシミュレーションです。※倍率は60倍で固定しております。

年間借地料
購入年:宅地50万円、宅地見込地50万円
10年後:宅地51.5万円、宅地見込地55.2万円
20年後:宅地53.1万円、宅地見込地61.0万円

物件価格
購入年:宅地3,000万円、宅地見込地3,000万円
10年後:宅地3,090万円、宅地見込地3,312万円
20年後:宅地3,186万円、宅地見込地3,660万円

※端数は省略しております。

こうしてみると複利効果もあり、宅地と宅地見込地とでは、利回りに大きな違いが生まれることがお分かりいただけるかと思います。また、現時点で借地単価が低いということはイコール初期費用の抑制にもつながり、同予算内でより広い面積の土地を購入することも可能になるというわけです。

 

目的や状況に応じた施設選び

 

ここからは、お客様のタイプ別に相性のよい施設をご紹介。投資の目的や置かれた状況の違いなど、さまざまなケースに応じた施設選びのポイントについて、分かりやすくご説明していきたいと思います。

 

嘉手納飛行場が買えない時は?


 

軍用地初心者・上級者を問わず、幅広い層に人気のある嘉手納飛行場ですが、その分すぐに売り切れてしまい、なかなか購入できないという方も多いのではないでしょうか。実際、当社のお客様にも「嘉手納飛行場をずっと狙っているがなかなか購入できない」という方がいらっしゃいました。

このような状況が続いた場合、基本的にはあせらず粘り強く待つというのがセオリーですが、なかには時間的な余裕がない方もいらっしゃるはず。そんな場合には、あまりひとつの施設にとらわれ過ぎずに、柔軟に投資対象を変えることも選択肢のひとつです。

具体的に、嘉手納飛行場が購入できない場合の代替施設を挙げるとすれば、今なら「嘉手納弾薬庫」や「ホワイトビーチ」がその筆頭格といえます。理由としては、返還リスクの低さを含め、さまざまな点で嘉手納飛行場とよく似た特徴をもつ施設であること、また、その割にはそこまで競争が激化しておらず購入しやすいといった点が挙げられます。

 

返還されてもいいなら


 

宜野湾市街地に隣接した普天間飛行場の様子。

宜野湾市街地に隣接した普天間飛行場の様子。

 

長期保有を前提としながらも、返還されるならされるでそれは大歓迎。返還後のプランまで織り込んだうえで投資したいという方におすすめなのが「普天間飛行場」です。

というのも、ご存知のとおり普天間には移転・返還のプランがあり、すでにそれにもとづいた跡地利用計画が進行中。ただし、実際の返還時期がいつになるのか、またどのような形で行われるかなど、依然として明確な結論が出ていないため、スケジュールが予定よりもだいぶ先に延びる可能性が高いと考えられています。

こうした状況から、基本的には待ちの姿勢で保有しつつ、いざ返還されるとなればなったでそちらの方向での資産形成を前向きに考えられるという方に向いている施設といえます。

 

大化けを期待するなら


 

資金に余裕があり、リスク云々を抜きにして大化けしそうな施設を購入したいという方には、那覇以外のエリアに点在する自衛隊施設がうってつけ。空港周辺にある人気の「航空自衛隊/那覇基地」や「陸上自衛隊/那覇駐屯地」などに比べて、倍率・借地料ともに低く、価格も控えめです。

特に、糸満市や八重瀬町など本島南部地域にある施設は、今後一気に人気が出る可能性もありますので、それを見越して今の内に押さえておくのもひとつの手ではないでしょうか。

 

今後の倍率上昇に期待したい


 

フェンス内外で大きく評価が分かれる伊江島補助飛行場。管轄は海兵隊。

フェンス内外で大きく評価が分かれる伊江島補助飛行場。管轄は海兵隊。

 

大化けとはいかないまでも、今後少しでも倍率が上がりそうな施設を探しているのであれば、「伊江島補助飛行場(フェンス内)」を見逃す手はありません。

以前にもお伝えしたとおり、伊江島補助飛行場のフェンス外はそのほとんどが黙認耕作地で、これといって特筆すべき要素がないのですが、ことフェンス内に関してはまったくの別物。あまり知られてはいませんが、オスプレイの離発着場や滑走路といった施設を新たに増強するなど、米軍にとっての重要度は以前にも増して大きくなっていると考えられます。

また、ここ数年借地料の値上げがなかったことで施設全体の評価が低迷していることから、千載一遇の買いのタイミングととらえることも。将来的な倍率上昇を見込んで動くなら、今が一番ホットな時期と考えることもできるでしょう。

 

注目の施設をピックアップ

 

もともと流通量の少ない軍用地ですが、とりわけ規模の小さな施設や地主数の少ない施設の場合、私ども専門業者であっても、そうそう頻繁にはお目にかかれないような物件も少なくありません。ここではそんなレア施設の中からとりわけ評価の高い施設、またそれとは逆に、初心者にはあまりおすすめできない施設、それぞれひとつずつピックアップしてご紹介したいと思います。

 

知名度は低いが狙い目の施設


 

今回ご紹介したいのは、沖縄本島北部の国頭村奥間にある「奥間レストセンター」です。こちらの施設は米軍のための福利厚生施設、つまりは軍人向けの保養地として利用されているため、一般的な基地とはその性格が大きく異なります。

美しいビーチに面した半島の突端に位置しており、すぐ手前には大型リゾートホテルの「オクマ リゾートホテル&リゾート」が軒をかまえるほどの好環境。そのポテンシャルの高さから、たとえ返還されたとしてもリゾート開発用地として大きく価値が上がるものと考えられています。

敷地面積自体は、546千㎡(私有地421千㎡)と大きくなく、市場に出回る機会もあまりないですが、買っておいて決して損はない施設だと思いますので、もし運よく見かけたらぜひご検討ください。

 

初心者にはおすすめしない施設


 

一般的に軍用地ビギナーの方は、嘉手納飛行場や嘉手納弾薬庫といった人気施設を購入されるケースが多いのですが、なかにはネットなどで仕入れた情報をもとに、ふだんあまり目にしないような施設に興味をもたれる方もいらっしゃいます。

しかしながら、そうしたレア施設の中には、正直初心者にはあまりおすすめできないような施設も混在しているため注意が必要。その代表格ともいえるのが「伊江島補助飛行場」です。

先ほど「今後倍率が上がりそうな施設」として紹介しておきながら、なぜここでは逆にダメだしするのかと不思議に思われた方もいらっしゃるかと思いますが、これはあくまで軍用地初心者を対象とした場合のお話。現在、短期的な利回りがほとんど期待できない状況にあることから、はじめて軍用地投資をされる方には不向きな施設であると私どもは考えております。

とはいえ一方で、不動産としての評価が低い分、所得税や固定資産税が圧倒的に安いなどの利点もあり、ある程度軍用地投資に精通している方であれば、先々を見越して購入するのもひとつの手。とりわけフェンス内の土地は、(先にご説明したとおり)この先需要が高まる可能性も十分に考えられます。

 

次回ブログへと続きます。

 

今回は「自分に合った施設の選び方」ということで、ここ最近の軍用地料の動向をはじめ、目的や状況に応じた施設選びのポイント、そのほか今注目の施設などについてご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。

当社では、基本的なポリシーとして「この物件はオススメです」というような形でのコンサルティングは一切行っておりません。それは、どんなに好条件の物件であってもお客様ご自身が主体的に物件選びを行わないと、必ずと言ってよいほど購入後に不満が出てくるという経験則があるからです。

ですので初心者の方であっても、各施設の特徴はもちろん最近の借地料・倍率の変動など、しっかりと情報収集をしたうえで、どの施設が自分に適しているのか、事前によくよく検討していただければと思います。

次回は、航空地図や登記簿謄本の確認方法など、与えられた物件情報を正しく読み解くためのノウハウについてお話ししていければと思います。

それではどうぞお楽しみに!

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