軍用地売却の基礎知識 | 軍用地投資ブログ

2021年09月03日

 沖縄の軍用地について徹底解説。今回は、軍用地をかしこく売却するためのノウハウについてご紹介いたします。

 

 目次

 - はじめに

 - 軍用地の売り時とは?

 - 取引形態と売却先

 - 売却時の注意点

 - 施設による違い

 - 次回ブログへ

 

はじめに

皆さま、こんにちは。開南コーポレーション代表の新垣です。

前回のブログでは、軍用地主の強い味方である「土地連(一般社団法人 沖縄県軍用地等地主会連合会)」や地主会についてお話しさせていただきましたが、今回は軍用地を売却する際のノウハウについてご紹介。短期間で現金化するためのコツや登記費用の節約方法など、お手持ちの物件をかしこく売るためのお役立ち情報をお届けいたします。

資金づくりのために今すぐ売りたいという方はもちろん、今後タイミングを見計らって軍用地を手放したいとお考えの方も、参考までにご一読いただけますと幸いです。

 

軍用地の売り時とは?

物件の絶対数が少なく、一般の不動産と比べて流動性の高い軍用地は、基本的にいつ売りに出したとしても、よほどのことがない限り買い手がつかないということはありません。もちろん、物件の内容によって売れるまでの期間に差はありますが、売り手側が希望するタイミング・価格帯で取引がまとまるケースが多いのが特徴です。

相場も基本的に安定しており、乱高下することはまずありませんので、そこまで小まめにチェックする必要はありません。とはいえ、コロナ禍下の現在(2021年)は以前までと違い、倍率が横這い基調で推移していることも事実ですので、時間に余裕のある方は軍用地業者のホームページを日々チェックするなどして、施設ごとの倍率の変動を追っておくとよいでしょう。

なお、毎年2~3月頃は、当該年度分の借地料収入を得るために購入需要が一時的に高まる時期となっているため、それに合わせて物件を売りに出すというのもひとつの手。登記や地主会への加入手続きを短期間で済ませたいという買い手の心理をうまくつくことによって、売り手主導で売却を進めることができるというわけです。

また、新年度になると物件価格に値上がりした借地単価が反映されるわけですが、そうなる前に購入しておきたいと動き出す方々に向けて、11~12月頃に物件を売りに出すというのも非常に有効です。

もっとも、需要の高まる時期に合わせて売ることも大切ですが、お客様ご自身の状況やタイミングが何より大事ですので、あせらずに売り時を見極めることが大切です。

 

取引形態と売却先

いつ売りに出しても買い手に困らないのが軍用地の魅力ではありますが、一般的な不動産と同じく、仲介取引の場合には契約完了までに1ヶ月以上を要するケースも少なくありません。

ですので、短期間(1週間~2週間程度)での物件売却を希望される方は、当社のように自社で直接買取りを行っている専門会社に依頼するのがおすすめです。また、売却予定物件の購入元の不動産会社と良好な関係にあるようであれば、わざわざ見ず知らずの別業者を探すより、その業者に買取りを依頼した方が無難ともいえます。

ただし、それぞれの会社の資金規模によって買取可能な金額には違いがありますので、数千万~億単位での買取りを希望される方は、ある程度名の通った実績豊富な専門業者に当たる必要があるでしょう。業者を選定する際には、軍用地専門の業者であるという点はもちろん、創業年や年間取引件数、お客様の口コミなどの内容を総合的に判断し、ここだったら信用できるだろうという会社を選んでいただければと思います。

なお、時間的なゆとりがある場合には、あえて仲介形式で売却を進めるというのもひとつの方法。相場の上限にあわせて倍率を設定し、その価格でも買いたいという方が現れるのを気長に待つことができるのも、長期運用のリスクがほとんどない軍用地ならではのメリットといえるのではないでしょうか。

いずれにせよ不動産会社に相談する際には、物件の内容だけでなく自身の置かれている状況まできちんと伝え、どのような売却方法が適しているかを相談しながら決めていくとよいと思います。

 

売却時の注意点

売り手市場の軍用地ではありますが、2020年以降は新型コロナウィルス感染症流行の影響で倍率は横ばい傾向にあり、相場を無視した倍率設定をしてしまうと買い手があまりつかない状況となっております。ですので、当該施設の最新の相場をしっかりと調べることはもちろん、施設にくわしい不動産会社スタッフともよくよく相談しながら、売り方や物件価格を決めることをおすすめいたします。

また、事前の情報収集という意味では、売主側の登記費用(司法書士手数料)がいくらになるかも、忘れずに確認しておくことをおすすめいたします。通常、どの不動産会社も専属の司法書士に業務委託していますが、手数料にはバラつきがあり、事務所によって数万円単位の違いが出ることもめずらしくはありません。

ですので、売る売らないは別の話として、まずはどの程度の司法書士手数料が発生するのかを事前に確かめておくとよいでしょう。

 

施設による違い

ここからは、買い手のつきやすい施設・つきづらい施設についてご紹介。今後の物件購入において、将来的な流動性に重点を置いて施設を選びたいという方は参考にしていただければと思います。

 

売りやすい施設

当社の経験上、いつ売りに出してもすぐに買い手がつくのが「那覇空港用地」「航空自衛隊那覇基地」「陸上自衛隊那覇駐屯地」「嘉手納飛行場」の4施設。次点を挙げるとすれば「嘉手納弾薬庫」でしょうか。

これらの施設に共通して言えるのは、将来的な返還リスクがほかの施設に比べて圧倒的に低いと考えられている点です。ご存じのとおり、那覇空港用地は民間空港としてフル稼働しており、移転・閉鎖の可能性は限りなくゼロに近いというのが大方の意見。航空自衛隊那覇基地・陸上自衛隊那覇駐屯地、および嘉手納飛行場・嘉手納弾薬庫に関しては、日本とアメリカという国の違いこそありはしますが、いずれもその国の最重要防衛拠点のひとつであるという位置づけから、返還リスクは極めて低いと考えられているのです。

 

時間のかかる施設

逆に売却するまでに時間がかかることの多い施設としては、キャンプ瑞慶覧(キャンプ・フォスター)が挙げられます。理由としては、まず返還されることが決まっているという点がひとつ。また、ほかの返還予定施設(普天間飛行場や牧港補給地区など)とは違い、一部地域を除いて返還範囲が決定していないという点も、買う側が購入をためらう一因となっております。

とはいえ、キャンプ瑞慶覧がまったく売れないかというと、当然ながらそんなことはありませんので、所有されている地主の方もご安心を。あくまで人気施設に比べれば時間がかかるといった程度のものですので、そこまで気にする必要はないかと個人的には思っております。

 

次回ブログへ

今回は、軍用地の売却に役立つ基本的な情報を中心にご案内してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。

これまでも再三お伝えしているとおり、軍用地は長期的に保有することでミドルリターン化する、いわばロングスパンの投資手法といえます。ですので、そもそも売却すること自体あまりおすすめではないのですが、やむにやまれぬ事情で手放さざるを得ないということもあるかと思います。そんな時はぜひ本稿の内容を思い出し、ご自分の状況に合わせて実践していただければと思います。

次回は、いよいよ当ブログ「シーズン1」の最終回ということで、軍用地の節税効果についてお話ししていきたいと思います。それではどうぞお楽しみに!

 

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