土地連と地主会 | 軍用地投資ブログ

2021年08月20日

沖縄の軍用地について徹底解説。今回は、土地連(沖縄県軍用地等地主会連合会)や地主会についてご紹介いたします。

 

 目次

 - はじめに

 - 土地連の成り立ち

 - 土地連の役割

 - 地主会とは?

 - わした土地連共済

 - 次回ブログへ

 

はじめに

皆さま、こんにちは。開南コーポレーション代表の新垣です。

前回のブログでは、軍用地にまつわるトラブルとその予防策についてお話しさせていただきましたが、今回はまったく別のテーマで、土地連(一般社団法人沖縄県軍用地等地主会連合会)や地主会についてご紹介いたします。

すでに軍用地主となっている方は、毎年借地料の明細書(土地賃借料算定調書及び土地明細書)や会報などが送付されてくるためご存知かとは思いますが、地主のためにいろいろな交渉ごとや事務手続き、広報活動などを行ってくれているのが土地連や地主会です。

多くの地主にとって必要不可欠な存在であることは言うまでもありませんが、実際どのような業務を行っている組織であるかは意外と知られておりませんので、この機会にお話しさせていただきます。

 

土地連の成り立ち

以前のブログ「軍用地の歴史(前編)」「軍用地の歴史(後編)」でもお話ししたとおり、戦中・戦後~1950年代前半にかけて、米軍による基地用地の強制的な土地接収が常態化していくと、土地の賃借料(軍用地料)の正当な支払いを求める県民の声が次第に大きくなっていきました。

こうした情勢のなか、立法院に集まった23の関係市町村代表によって、新たな民間組織として設立されたのが「市町村土地特別委員連合会(土地連)」でした。

現在の「沖縄県軍用地等地主連合会」の前身でもあるこの組織は、軍用地問題の円満かつ適正な解決ならびに地主の財産保護を目的に発足。県内全土で土地闘争が激化する米軍統治下の沖縄で、県民の先頭に立って軍用地の請求・交渉活動をけん引し、発足当初から13年以上も会長を務めた故・桑江朝幸氏は、その功績から「ミスター軍用地」とも呼ばれました。

現在のように組織が法人化されたのは1969年のことで、名称は「社団法人 沖縄県軍用地等地主連合会」に。その後、何度か名称の変更があったものの、発足当初の組織名称への敬意や愛着から、今日でも変わらず「土地連」の通称で呼ばれております。

 

組織の沿革

現在の「一般社団法人 沖縄県軍用地等地主会連合会」に名称変更されたのは2014年のこと。前年の2013年には、那覇市久米から北谷町桑江へと事務所が移転しております。

土地連(一般社団法人沖縄県軍用地等地主会連合会)の沿革

 

組織図

2020年7月末時点における役員構成は、理事14名、監事3名の計17名。地主の総数は約40,000名となっております。

土地連(一般社団法人沖縄県軍用地等地主会連合会)の組織図。

上図から、各市町村および地主会が会員であることがお分かりいただけるかと思います。また、理事や監事には各地の地主会の会長が就き、地域ごとの課題や要求などがスムーズに吸い上げられるような仕組みとなっております。

 

会員の詳細

2020年7月末時点での会員数は、市町村20、地主会22、個人68の合計110会員となっております。各グループ(市町村・地主会)ごとの詳細は以下をご覧ください。

 

市町村

・国頭村
・本部町
・名護市
・恩納村
・宜野座村
・金武町
・伊江村
・うるま市
・沖縄市
・読谷村
・北谷町
・北中城村
・宜野湾市
・浦添市
・那覇市
・糸満市
・南城市
・八重瀬町
・久米島町
・渡名喜村

 

地主会

・国頭村軍用地地主会
・名護市軍用地等地主会
・恩納村軍用地地主会
・宜野座村軍用地等地主会
・(一般社団法人)金武町軍用地地主会
・伊江村軍用地等地主会
・うるま市石川軍用地等地主会
・うるま市勝連軍用地地主会
・(一般社団法人)うるま市軍用地等地主会
・(一般社団法人)沖縄市軍用地等地主会
・読谷村軍用地主会
・(一般社団法人)北谷町軍用地等地主会
・北中城村軍用地等地主会
・宜野湾市軍用地等地主会
・浦添市軍用地等地主会
・(一般社団法人)沖縄県那覇空港用地等地主会
・那覇軍用地等地主会
・糸満市軍用地主会
・南城市佐敷軍用地等地主会
・南城市知念軍用地等地主会
・八重瀬町軍用地等地主会
・具志川軍用地地主会

※参照:一般社団法人沖縄県軍用地等地主会連合会ホームページ

 

土地連の役割

軍用地主にとって、土地連の存在をもっとも身近に感じる瞬間と言えば、やはり借地料(単価)の値上げに関する通知が届いた時ではないでしょうか。

というのも、国に対する軍用地料の値上げ交渉という非常にむずかしい役を担ってくれているのが土地連であり、バブル期以降、借地料が一度も下がらず、安定的に値上がりを続けているのは土地連の働きかけがあってこそとも言えるからです。

本項では、日ごろから地主の財産保護や福利増進のためにさまざまなサポート業務を行ってくれている土地連の活動内容についてご紹介していきたいと思います。

 

関係機関への要請行動による軍用地等に係る諸問題の解決

防衛局との借地料交渉がまさにこれに当たります。軍用地の場合、国を相手に賃借契約を結ぶことになりますが、その間の交渉ごとをすべて代行してくれるのが土地連というわけです。

 

会員や地主の要請を集約するための各種会議の開催

借地単価の格差是正など、地域ごとの課題を全体で共有する場を設け、要請行動へと展開してくれるのも土地連です。専門の広報紙を発行するなど、地主向けの情報共有も盛んに行ってくれています。

 

共済融資制度あっせん事業

後ほど別の項でもご説明しますが、地主限定の融資制度を独自で展開。県内の金融機関が提供するローン商品に比べて金利が低いため、当社のお客様も大勢利用しております。

 

返還跡地の跡地利用促進に向けた助成事業

返還後の跡地利用がスムーズに進むよう、地権者の合意形成を促すこともあれば、関連する協議会や準備会の後押しを行うなど、土地連がさまざまな面でサポートしてくれています。

 

人材育成・社会福祉団体等への助成活動

上記活動のほか、県内市町村や社会福祉協議会、大学や人材育成財団など、社会福祉の向上や人材育成の推進に取組む団体への支援活動を行っています。

※参照:一般社団法人沖縄県軍用地等地主会連合会ホームページ

 

地主会とは?

先にも述べたとおり、土地連は各地の地主会・市町村・地主などからなる組織なのですが、では地主会とはどのような組織なのか、ここではお話ししたいと思います。

基本的に地主会は、軍用地等が所在する市町村ごとに組織されており、施設ごとに存在するわけではありません。ですので、例えば嘉手納飛行場内の土地を所有している場合、その物件が嘉手納町・沖縄市・北谷町のどの管轄区域内に位置しているかによって、所属する地主会が変わってくるというわけです。

地主会の役割は、土地連がそうであるように「地主の権利を保護する」ことにありますが、借地料の支払いや融資の受付といった直接的な実務作業を担っているため、地主との距離感は土地連よりも近い印象を受けます。

実際の業務内容について、少しご紹介したいと思います。

 

軍用地等賃貸料の会員への支払業務

地主への借地料の入金手続き、および借地料の明細が記された「土地賃借料算定調書及び土地明細書」の送付などが地主会の主な任務となります。

 

共済資金融資制度のあっせん受付業務

土地連同様、独自の軍用地ローン制度「わした土地連共済」の受付・あっせん業務を行っています。制度の詳細はこちらをご覧ください。

 

会員住所変更等の諸手続き受付業務

上記活動のほか、地主会員の住所や氏名の変更、土地の所有権移転(相続・贈与・売買)、振込口座の変更手続きなどを行っています。

 

なお、各地主会には会長・副会長などの役員がおり、そうした方々は会の代表として、土地連の理事や監事を兼任する場合も。各地域の声や思いを公平に取り上げ、県や国に届けていけるような組織体制がとられております。

※参照:一般社団法人沖縄県軍用地等地主会連合会ホームページ

 

わした土地連共済

地主会に加入するもっとも大きなメリットのひとつとして、「土地連共済(わした土地連共済)」という軍用地主限定の低金利のローン制度を利用できるという点が挙げられます。

どの程度の優遇かというと、2021年8月現在で金利が1.00%(みずほ銀行における長期プライムレートを基準に変動)。県内各行の軍用地ローンと比べても約1%低く、借入れが前提のお客様にとっては非常にありがたい存在であるといえます。

また、融資限度額も3,500万円ということで使用用途も幅広く、さまざまなニーズへも柔軟に対応可能。返済期限も35年と非常に使い勝手のよいローンですので、地主会加入の折はぜひご検討いただければと思います。

なお、土地連共済はあくまで軍用地主専用の融資制度であるため、はじめて軍用地を購入する際には利用できませんので、その点はご注意ください。ただし、県内金融機関にて一度つなぎのご融資を受けていただき、その後で実行するといった方法をとることはできますので、ご興味のある方はお気軽にお問合わせいただければと思います。

また、この制度を利用するには、土地連所属の地主会への入会が条件となっているため、地主会未加入の方、ならびに土地連に属さない地主会(嘉手納町地主会)のみに加入されている方はご利用いただけませんので、あらかじめご承知おきください。

※わした土地連共済についての詳細はこちら

 

次回ブログへ

今回は、土地連(一般社団法人沖縄県軍用地等地主会連合会)や地主会とはいったいどのような組織なのか、その歴史や役割についてご説明させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。

地主会への登録はあくまで任意ですので、必ずしも入会しないといけないというわけではありませんが、未入会の場合には(通常は土地連・地主会が代行してくれる)防衛局とのやりとりを、すべて所有者自身で実行しなくてはならないため、初心者にはあまりおすすめいたしません。

ちなみに、当社で軍用地をご購入いただいたお客様の約98%が地主会に加入しており、未加入の方はごく少数。ほとんどの方が地主会に入会されていることがお分かりいただけるかと思います。

例外としてあえて申し上げるならば、借地料収入が億を超えますと、必然的に地主会費(借地料×約0.5%)も数十万単位になりますので、その場合は加入しないという判断もあり得るでしょう。未加入の際に必要となる手続きについて、よりくわしく知りたいという方はお問合わせください。

次回は、軍用地の売却の基本的なノウハウについてご紹介していきたいと思いますので、どうぞお楽しみに!

ページトップへ