返還予定施設と跡地利用 | 軍用地投資ブログ

2021年05月21日

沖縄の軍用地について徹底解説。今回は、各施設ごとの返還計画や跡地利用についてご紹介いたします。

 

 目次

 - はじめに

 - 返還計画について

 - 人気のある返還予定施設

 - 牧港補給地区

 - 普天間飛行場

 - 返還後の都市計画

 - 施設周辺の地価変動

 - 次回ブログへ

 

はじめに

皆さま、こんにちは。開南コーポレーション代表の新垣です。

前回のブログでは、物件情報の専門的な見方についてご紹介しましたが、今回は少し別の視点から、返還予定のある施設や返還後の跡地利用についてお話ししたいと思います。

軍用地の唯一の不安材料ともいえる「返還リスク」ですが、返還が予定されている施設がどれも不人気かといえば、決してそんなことはありません。むしろ、返還されること自体を魅力と捉える向きも多く、返還予定のある施設を中心に物件を探されている方もいるほどです。

今回はそうした方々のお役に少しでも立てればということで、返還計画のある施設の特徴やメリットについて、くわしくご説明するとともに、施設周辺の地価変動状況についてもご紹介。

返還予定施設を購入するうえではもちろん、返還リスクの低い施設を購入するうえでも役に立つ情報だと思いますので、ぜひご一読いただければと思います。

 

返還計画について

まずはじめに、現時点における基地返還計画の詳細ですが、1996年の「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」の最終報告を下敷きに2013年に発表された「沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画(通称:嘉手納以南の基地返還計画)」において、具体的な時期などについて言及されております。

施設別に返還予定時期を確認しやすいようにまとめてみましたので、以下の表をご確認ください。

 

嘉手納飛行場以南の米軍基地・施設の返還状況の一覧(令和2年度現在)。

 

上の表からお分かりいただけるように、今後返還が予定されている施設は、普天間飛行場・陸軍貯油施設(第1タンクファーム)・キャンプ瑞慶覧(キャンプフォスター)・キャンプ桑江(キャンプレスター)・牧港補給地区(キャンプキンザ―)・那覇港湾施設の6施設。代替施設の提供とともに返還が進められる区域と、海兵隊の国外移転にともない返還が進められる区域とに大別されております。

なお、キャンプ瑞慶覧(追加的な部分)については「追加的な返還が可能かどうかを確認するため、マスタープランの作成過程において検討される」とされているだけで、返還時期や区域、面積に関する具体的な言及は今のところありません。

 

人気のある返還予定施設

前項でご紹介した施設の内、とりわけ軍用地として注目を集めているのが、浦添市にある牧港補給地区と宜野湾市の普天間飛行場。両施設とも返還面積が広く、そもそも市場に出回る物件の数が多いのはもちろん、市街地・主要道路に隣接し、西海岸の海浜地域にも近いという立地条件のよさから、返還後の地価上昇が確実視されていることがその大きな理由です。

ここからは、両施設の特徴についてそれぞれ見ていきましょう。

 

牧港補給地区

– 施設概要

別名「キャンプ・キンザ―」とも呼ばれる牧港補給地区。管理・管轄は米海兵隊ですが、海兵隊のみならず在沖米軍全体の整備や補給など、兵站基地としての役割を担っております。施設内は、倉庫地区・隊舎地区・住宅地区に分かれ、宿舎や管理事務所のほか、各種工場や倉庫が多数存在しております。

– 所在地

浦添市(字港川・字城間・字屋冨祖・字仲西・字宮城・字小湾)

– 地図

 

– 特徴・メリット

沖縄本島の北と南を結ぶ大動脈「国道58号線」に隣接し、県内随一のビジネス拠点である那覇市へもアクセス至便。また、那覇空港へのアクセスもよく、西海岸に面しているため観光拠点としてのポテンシャルも折り紙付きです。

– こんな方に人気

那覇市や空港への便もよく、おまけに西海岸に隣接していることから、ホテル用地を探している業者、または倉庫用地などを探されている地元の物流業者などに人気があります。もちろん、個人投資家の方で購入される方もいらっしゃいますが、ここ数年単価がかなり高騰しておりますので、個人用の住宅用地として購入するには不向きな施設であるといえます。

– レーダーチャート分析

当社で牧港補給地区の物件を購入されたお客様の傾向や跡地利用計画などの情報をもとに、独自のレーダーチャートを作成してみました。当社の主観にもとづく部分が大きいですので、あくまで参考程度にご覧いただければと思います。

当社独自の牧港補給地区の分析チャートです。

当社独自の牧港補給地区の分析チャートです。

 

普天間飛行場

– 施設概要

国内有数の規模をもつ米軍航空施設のひとつである普天間飛行場ですが、管理・管轄は牧港補給地区と同じく海兵隊。主な任務として、上陸作戦支援・偵察・空輸などを担っております。施設内には、大型滑走路・格納庫・通信施設・整備施設・部品倉庫のほか、福利厚生施設としてスーパー・クラブ・診療所などがあり、総合的な航空機基地として整備されております。

– 所在地

宜野湾市(字宜野湾、字野嵩、普天間二丁目、字喜友名、字新城、字伊佐、字大山、字真志喜、字大謝名、字佐真下、字神山、字赤道、字中原、字上原)

– 地図

 

– 特徴・メリット

宜野湾市街地の中心にあり、基地の周囲はすでに住宅地として利用されております。北西エリアは国道58号線に隣接し、場所によっては高台となっているため眺望も抜群。那覇・北谷・沖縄市などへのアクセスがよいにもかかわらず、牧港補給地区ほどには値上がりしていないので、資金に余裕のない方でも手を出しやすいのが特徴です。

– こんな方に人気

宜野湾周辺にお住まいの方で、将来的な住宅用地を探している方に人気です。また、県外にお住まいの方がリタイヤ後の移住先、もしくはUターン先として購入するケースも見られます。想定よりも返還が延びそうであれば、その時は売却してもよいですし、子や孫のための土地としてそのまま保有しておくことも可。選択肢を複数もつことができるという点が人気の理由のようです。

– レーダーチャート分析

当社で普天間飛行場の物件を購入されたお客様の傾向や跡地利用計画などの情報をもとに、独自のレーダーチャートを作成してみました。当社の主観にもとづく部分が大きいですので、あくまで参考程度にご覧いただければと思います。

当社独自の普天間飛行場の分析チャートです。

当社独自の普天間飛行場の分析チャートです。

 

返還後の都市計画

ここからは、主な返還予定施設の跡地利用計画について見ていきたいと思いますが、詳細については、県や市町村のホームページで確認できるほか、役所の都市計画課などへ直接出向いて話を聞くことも可能です。また、計画が大きく進展する場合には、新聞やテレビなどでも報道されるはずですので、そうした部分までアンテナを張って情報収集されるとよいでしょう。

 

牧港補給地区

浦添市においては、2013年3月に「牧港補給地区跡地利用基本計画」を策定。空港や那覇市に近く、西海岸にも面しているなどの立地条件を生かし、国内外の人を呼び込み交流を活性化することを目的に、産業振興地区・商業業務地区・住宅地区・公園緑地などを効果的に配置する案がでております。

牧港補給地区と隣接する海浜地区は、浦添市が別で進める西海岸開発計画や那覇港湾施設(通称:那覇軍港)の移設先としても検討が進められており、これらの埋立て契約や港湾整備計画などと連携し、一体となった都市地域として整備するよう県側からも求められております。

また、跡地利用のスムーズな整備推進のための広報活動を行う組織として、地権者やその子らで構成された「チームまきほ21」も発足され、地権者の合意形成や人材育成などを積極的に行っております。

※牧港補給地区の跡地利用の詳細につきましては、浦添市ホームページ内の「牧港補給地区跡地利用基本計画(平成24年度)」をご覧ください。

※西海岸開発と軍港移設に関する詳細につきましては、浦添市ホームページ内の「浦添市西海岸開発と那覇軍港に関する情報一覧」および「西海岸開発課」にてご確認ください。

 

普天間飛行場

普天間飛行場の跡地利用については、沖縄県と宜野湾市が共同で、2006年には「普天間飛行場跡地利用基本方針」を、2007年には跡地利用計画の策定までの具体的な行動・手順・役割分担などを明示した「普天間飛行場跡地利用計画の策定に向けた行動計画」を策定。

2012年度には、「沖縄21世紀ビジョン基本計画」や「中南部都市圏駐留軍用地跡地利用広域構想」といった広域計画との整合性を図りながら、新たに「全体計画の中間とりまとめ」が策定されました。

2013年度以降は、前述の「全体計画の中間とりまとめ」をベースに、工程計画の策定・見直しを行いながら、地域の普遍的な資源を生かした跡地利用の可能性を探るなど、計画内容の具体化に向けた取組みが継続進行中。

あくまで検討段階ではありますが、産業機能を中心とした「振興拠点ゾーン」、商業機能を中心とした「都市拠点ゾーン」、生活機能を中心とした「住居ゾーン」の3エリアにゾーニングした案や、北側・中央・南側の3地域でゾーニングした案などが提示され、それらにもとづいたプロモーションビデオの制作など、返還後の街づくりのイメージについて活発に模索されている状況です。

※普天間飛行場の跡地利用については、県ホームページに「普天間未来予想図」という専用ページが用意されておりますので、くわしくはそちらをご覧ください。

 

施設周辺の地価変動

返還後のプランニングはもちろん、保有中の借地料の値上がりにも大きく影響してくるのが、施設周辺の地価。沖縄県が毎年7月に発表している各地の基準地価の推移を見れば、今後の動向についてある程度予測することができますので、ぜひチェックいただければと思います。

以下、令和2年の沖縄県による地価調査結果のいくつかをご紹介いたします。

■ 市町村別/住宅地の地価変動率トップ5

1位 西原町 11.0%
2位 宮古島市 10.8%
3位 読谷村 8.6%
4位 糸満市 8.5%
5位 宜野湾市 8.4%

■ 市町村別/住宅地の地価変動率ワースト5

1位 伊江村 ▲2.4%
2位 久米島町 ▲2.0%
3位 多良間村 ▲1.2%
4位 粟国村 ▲1.0%
5位 国頭村ほか10村 0.0%

上記のランキングの市町村を、軍用地の施設別に置き換えてみますと、読谷村には「嘉手納弾薬庫」や「トリイ通信施設」が、宜野湾市には「普天間飛行場」や「キャンプ瑞慶覧」などがあり、こうした施設の借地単価が今後も値上がりしていく可能性を示しております。

逆に、伊江村にはここ数年借地料が据え置きとなっている「伊江島補助飛行場」があり、地価の値下がりが借地料の伸び悩みに少なからず影響していることが、こうした数字からもお分かりいただけるかと思います。

 

次回ブログへ

今回は、返還予定のある施設の特徴や返還後の跡地利用の動向、また施設周辺の地価変動についてもご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。

一般的に軍用地を購入する際は、できるだけ長く保有することを考えますから、返還リスクのできるだけ少ない施設を選ぶのがセオリーではあるのですが、今回の記事をご覧いただき、あえて返還予定のある施設を購入するという選択肢があることを知っていただければ幸いです。

とりわけ普天間飛行場に関しては、借地単価もまだ牧港補給地区ほどには高騰しておりませんので、早めに買っておけば今後大きな利益をもたらしてくれることになるかもしれません。当社でも、仕入れがあり次第、随時販売していく予定ですので、ぜひチェックしてみてくださいね。

次回からは、いよいよ購入編ということで、購入の決断から契約にいたるまでのあれこれについてご紹介できればと思います。それでは、どうぞお楽しみに!

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