物件情報の読みとり方 | 軍用地投資ブログ

2021年05月07日

沖縄の軍用地について徹底解説。今回は、ホームページや新聞紙面上に掲載された物件情報のより専門的な見方についてご案内いたします。

 

 目次

 - はじめに

 - 価格・倍率・年間借地料

 - 取引形態・仲介手数料・引き渡し

 - 取得税・固定資産税

 - 土地面積

 - 所在地

 - 種別・地目

 - 施設番号・施設名

 - 土地権利

 - 相続税評価額

 - 次回ブログへ

 

はじめに

皆さま、こんにちは。開南コーポレーション代表の新垣です。

前回のブログでは、公図や航空写真、登記簿謄本や土地賃借料算定調書及び土地明細書などの見方について解説いたしましたが、今回はまたそれとは少し違った角度から、ホームページや新聞紙面に掲載された物件情報の読みとり方についてご案内。与えられた情報をどのように解釈するかで、物件選びの精度は大きく変わってきますので、現在軍用地の購入を検討中という方はぜひ参考にしてください。

 

価格・倍率・年間借地料

物件の価格・倍率・年間借地料に関しては、当然明記されていなければならない情報ですが、不動産会社によっては倍率と年間借地料のみで、価格を表記していないというケースが存在します。そんな時は、以前の記事でもご紹介したように「売買価格=年間借地料×倍率」ですので、実際にご自身で計算してみるとよいでしょう。

また、倍率の設定は(同じ施設であっても)不動産会社ごとに微妙に違っていたりするので、あらかじめ各社のホームページを見比べながら相場を把握しておくとよいでしょう。

そのほか会社によっては、借地料のことを「軍用地料・地料・地代・賃料・賃借料・賃貸料」などと表記するケースもありますが、いずれも同じ意味として捉えていただいて問題ありません。

 

取引形態・仲介手数料・引き渡し

売り手市場の軍用地の場合、売主なのか仲介なのかという点は、一般の不動産以上に気になるところです。というのも仲介取引の場合、手数料が発生するのはもちろんのこと、売主側の承諾がなかなか得られず、登記簿や土地明細書の確認が遅れるなど、思わぬ落とし穴にはまり込んでしまうケースがままあるからです。

その点、取引形態が売主の場合は第三者がおらず、手続き自体がとてもシンプルなため、軍用地投資初心者でも安心して取引を進めることができるでしょう。

仲介手数料については、一般の不動産と同じく400万円を超える物件の場合は「物件価格の3%+6万円+消費税(10%)」です。例として、1,000万円の物件の場合の仲介手数料は以下のようになります。

例)販売価格1,000万円の物件の仲介手数料
1,000万円×3%+6万円=36万円
36万円×消費税10%=39万6,000円

上記の場合、仮に倍率が50倍、年間借地料が20万円だったとすると、仲介手数料額は倍率換算でほぼ2倍に相当することになります。つまり、取引形態が仲介である場合、倍率表示が他社に比べて1~2倍低かったとしても、最終的な売買価格まで割安になるとは限らないということですので、その点につきましてはご自身でよくよく精査いただければと思います。

 

不動産取得税・固定資産税

取得税・固定資産税については、固定資産税評価額にもとづいて算出されるという意味では、一般の不動産とまったく同じです。ただし、軍用地の場合は、借地権付きの土地ということで評価額自体がかなり低く設定されており、一般的な事業用地などと比べるとその負担ははるかに小さいです。場所によっては、完全に免税となるケースもあるため、あらかじめチェックしておくとよいでしょう。

 

土地面積

面積の広い狭いに関しては(特にビギナーの方は)あまり意識せず、まずは予算ありきで探してみるのがよいでしょう。というのも、軍用地の返還リスクは依然として非常に低い状況にあり、返還計画のある一部施設を除けば、跡地利用を優先して考える必要がないからです。

逆に、普天間飛行場や牧港補給地区(キャンプキンザ―)など、返還予定のある施設購入を検討されている方は注意が必要。一般的に換地時には、従前の土地面積から約30%ほど減歩されてしまうため、返還後の跡地利用を具体的に検討されている方は、その分を逆算して見積もっておく必要があるのです。

なお、同施設内に所有している複数の物件はすべて合算して換地されることになるため、ひとつひとつの土地は小さかったとしても、それなりの面積になるというケースもあります。軍用地を買い足される際には、ぜひその点についても検討材料として加えていただければと思います。

 

所在地

次に所在地ですが、こちらは地番まで分かったとしても、結局は航空写真や公図・地籍併合図などを使って詳細な場所を確認するほかないので、そこまで重要度が高いということはありません。

ただし、以前の記事でもお伝えしたとおり、フェンスの内側なのか外側なのか、境界から近いのか遠いのか、またどのような建物や工作物が近くにあるのかなど、航空写真に関しては見るべきポイントがたくさんあります。なかには、いまだにフェンス外の土地をそうとは知らせずに販売する業者もあるようですので、必ず航空写真上でチェックするようにしましょう。

 

種別・地目

種別や地目は、過去のブログでもふれたとおり、かなり重要度の高い項目ですので必ずチェックしましょう。とりわけ、種別が宅地見込地であるかどうかは借地料の上昇率にも大きくかかわってくるため、長期的な利回りを判断するうえでは欠かせないポイントです。

また地目については、農地(畑や田んぼなど)として評価されている場合、原則的に売買や譲渡を行うことができませんので、その点も確認しておくとよいでしょう。

 

施設番号・施設名

米軍基地にはそれぞれ固有の施設番号が存在しますが、あくまで施設ごとに定められているものですので、物件ごとに違いがあるわけではありません。ですので、施設名さえ特定できていれば、特に問題はありません。

ただし、自衛隊基地に関しては、似たような名称の施設が非常に多いため、どの部隊が管轄する施設なのかきちんと把握しておくべきでしょう。また不動産会社によっては、施設名を省略したり、通称で表記する場合もありますので、航空写真や所在地などと合わせて正式名称を確認するようにしましょう。

 

土地権利

権利関係で注意しておきたいのは、単独所有なのか、それとも共有持分(きょうゆうもちぶん)なのかという点です。共有持分というのは、ひとつの軍用地を複数名で所有している権利状態のことで、それぞれの持分面積によって借地料が変わってきます。分筆とは異なり、土地そのものに境界線を引くわけではありませんし、収入面においても単独所有物件と特に大きな違いはありません。

デメリットとしては、固定資産税の連帯納付義務が発生するため、自分以外の誰かが固定資産税を滞納すると、その方の分まで代わりに納税せざるをえないという点です。また、これはあくまで心理的な部分ですが、登記簿上に共有者の名前が併記されることになりますので、その点も理解しておく必要があります。

そのほか、返還が予定されている施設などでは、事前に当該市町村による先行買取りが行われることがありますが、共有持分の所有者が単独でこれを受けることはできませんので、その点も頭に入れておくとよいでしょう。

以上のようなデメリットはございますが、その分、単独所有物件に比べて倍率も1~2倍ほど低く取引されているため、初期費用を大幅に抑えることができるのは大きなメリット。そもそも固定資産税が少額であることや返還リスクがきわめて低いことを考慮すれば、非常にお買い得な物件であるといえるのです。

 

相続税評価額

先にも述べたとおり、軍用地は固定資産税評価額が一般の土地に比べてとても低いため、相続税対策としても非常に有効です。ので、現在節税をかねて不動産を保有されているという方は、ぜひ双方を比べてみるとよいでしょう。タワマン節税への取り締まりが厳しくなったきた昨今、新たな節税対策としてぜひ取り入れていただければと思います。

相続税評価額をご自身で調べる場合は、「固定資産税評価額×倍率×0.6」という式でご算出ください。なお、ここで使われる倍率は、軍用地の売買時に用いられる倍率とは異なり、国税庁が公表する「公用地用の評価倍率(こちらから確認いただけます)」を指しておりますので、お間違いのないようご注意ください。

 

次回ブログへ

今回は、ホームページや新聞などに掲載されている物件情報の正しい読みとり方についてご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。

現地確認のできない軍用地の売買では、与えられたわずかな情報の中から、その物件の正しい価値を見抜かなければなりません。当然、一朝一夕でそのような洞察力が身につくわけではありませんので、まずはいろいろな物件をみて、気になることがあったらネットで調べるなり、業者に問合わせるなりして、知見を深めていっていただければと思います。

次回は、返還後の地価上昇の可能性や跡地利用について、いろいろな角度からみていきたいと思いますので、どうぞお楽しみに!

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